好きな設定を好きなだけ
違う。なんであんな答えをしちゃったんだろう。
付き合って半年の彼に結婚を迫られた。
でも迷っていた。それに、今日は出会う前からずっと。。
彼の準備や今日にいたるまでのムード作りが、やっぱりそうだよね。
でも、なんか踏ん切りがつかない感があったし、
あんまり考えないで、、デートを楽しもうと思って・・来ちゃった。。
なんで、
なんで「弟さんの年収を超えたら考える」って言っちゃったんだろう。。
いや、がんばって欲しかったって気持ちもあるの。
それに半分冗談ぽく言ったはずなんだけど。。
「え、あ、う・・」って言葉覚えたてのAIみたいになっちゃったじゃない!
あたしのお馬鹿さん!あぁぁ~
あわてて駆け込んだトイレ。
縁に花が活けてある不思議な鏡。なんか映っているあたしがミュシャのモデルみたいね。
だけど、いつの間にか知らずに髪をかきあげていたようだ。
宝塚に日本昔話組があったら、やまんば役はあたしに決定ね。
時計の針を戻そう
髪を整え、表情を整え・・
軽く油取り紙で顔を抑えていると、蛇口付近に懐中時計があることに気づいた。
午後の8時をまわったところ。今の時間。
試しに入店直後の2時間前に針を戻す。
彼には、、一旦話をそらした方がいいかも。
ま、ドライに気持ちは嬉しいとは言っておこう。
何がひっかかっているのか。
私の気持ちが整理できてないのに、今彼に何も告げることができないわ。
よし~
トイレを出ると同時に、掛け時計が6回鐘を打った気がした。
続く。